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アマチュア無線家をなぜ「ハム(HAM)」と呼ぶ?実は”下手くそ”が由来だった意外な歴史

アマチュア無線家をなぜ「ハム(HAM)」と呼ぶ?実は”下手くそ”が由来だった意外な歴史

アマチュア無線家を「ハム(HAM)」と呼ぶのはなぜか?

「趣味はハムです」 そう自己紹介して、「ハムってなんですか?」と聞き返された経験がある方は少なくないでしょう。あるいは、これからアマチュア無線を始めようとしている方にとって、なぜ無線家が「HAM(ハム)」と呼ばれるのかは、最初の謎かもしれません。

「H.A.M.」という何かの頭文字だと思っていませんか? 実は、この言葉の裏には、無線通信の黎明期におけるプロとアマチュアの確執、そしてある「都市伝説」が隠されているのです。

この記事では、国内外の文献やARRL(アメリカ無線中継連盟)の見解を元に、「HAMの本当の由来」を徹底解説します。これを読めば、あなたは無線の歴史に少し詳しくなり、アマチュア無線の世界をより深く理解できるでしょう。

結論:最も有力な説は「プロからの蔑称(べっしょう)」だった

結論から申し上げます。現在、最も有力とされている説は、「プロの通信士が、未熟なアマチュアを揶揄(やゆ)して呼んだスラング」が起源であるというものです。

19世紀後半から20世紀初頭、無線通信の前身である「有線電信」の世界では、モールス信号の操作が下手なオペレーターのことを「Ham(ハム)」と呼んでいました。

なぜ「ハム」が「下手くそ」を意味したのか?

これには、演劇界のスラングが関係していると言われています。

  • Ham actor(大根役者): 演技が過剰で下手な役者のことを、英語のスラングで「Ham actor」や「Hamfatter」と呼びました(安価なハムの脂でメイクを落としていたことに由来するという説があります)。

  • 独特の「打ち方」: プロの電信技師たちは、この演劇用語を流用し、モールス信号のキー操作がぎこちなく、ノイズばかり送ってくる未熟者を「Ham」と呼んだのです。

当時の状況: 無線通信が始まった当初、特定の周波数割り当てもなく、プロもアマチュアも同じ土俵で電波を出していました。プロの業務通信に対し、アマチュアが強力な電波で混信を与えることが多々あり、プロ達は苛立ちを込めて「おい、そこのハム(下手くそ)!邪魔だ!」と呼んでいたのです。


「H.A.M.」は頭文字?有名な都市伝説を検証

おそらく、古い無線雑誌や先輩から、次のような「美談」を聞いたことがある方もいるかもしれません。

【Hyman-Almy-Murray 伝説】 1908年頃、ハーバード大学の学生であったHyman、Almy、Murrayの3人が無線局を開設した。彼らの名前の頭文字をとってコールサインを「HAM」とした。その後、彼らの活躍により「HAM」という言葉がアマチュア無線の代名詞として広まった。

この話は、非常に具体的でドラマチックであり、長年「真実」として語り継がれてきました。しかし、残念ながら現在では事実ではない単なる「都市伝説」であると判定されています。

なぜ「都市伝説」と言い切れるのか?

米国のアマチュア無線連盟であるARRLや、通信史の研究家たちの調査により、以下の矛盾点が指摘されています。

  1. 学生の実在性: ハーバード大学の記録に、該当する時期にHyman、Almy、Murrayという学生が在籍していた記録がない。

  2. コールサインの体系: 当時のコールサイン体系と、このエピソードの詳細が歴史的事実と合致しない。

この説は、1940年代以降に広まった創作である可能性が高いとされています。「蔑称」が由来ではかっこ悪いと考えた誰かが、後付けで作った美しいストーリーなのかもしれません。


その他の興味深い語源説

「下手くそ説」や「頭文字説」以外にも、いくつかの説が存在します。雑学として押さえておきましょう。

  • Ham-fisted(不器用な手)説: 手が大きく、不器用な様子を表す「Ham-fisted」という言葉があります。繊細なモールス通信ができない様子を「ハムのような拳でキーを叩いている」と表現したという説です。

  • Cockney Slang(コックニー訛り)説: ロンドンの下町訛り(コックニー)では、Hを発音したりしなかったりします。「Amateur(アマチュア)」が訛って「H’amateur」となり、短縮されて「Ham」になったという説です。


蔑称から「誇り高き称号」への逆転劇

ここが最も重要なポイントです。元々は「下手くそ」「邪魔者」という蔑称として始まった「HAM」ですが、なぜ現在では世界中の無線家が自らを「HAM」と名乗るようになったのでしょうか?

それは、アマチュア無線家たちの「開き直り」と「技術向上」があったからです。

負のレッテルを自分の名前に

プロから「このハム野郎!」と呼ばれたアマチュアたちは、次第にこう考えるようになりました。 「ああ、そうだ。俺たちはハムだ。だが、電波への情熱は誰にも負けない」彼らは自らをあえて「HAM」と呼び始め、仲間意識を高めていきました。そして、災害時の通信支援や、短波帯の発見など、プロも成し遂げられなかった技術的偉業を次々と達成していきます。

現代におけるHAMの地位

現在、「HAM」という言葉に侮蔑的な意味合いは全く残っていません。むしろ、以下のようなニュアンスを含む「親愛なる呼称」として定着しています。

  • King of Hobbies(趣味の王様)の実践者

  • 国境を超えて友情を結ぶコミュニケーター

  • 災害時に頼りになる技術者

※日本においては、食品のハムと区別するためや、より丁寧な表現として「アマチュア無線家」と呼ぶことも多いですが、英語圏(特にアメリカ)では「I am a ham.」という表現が一般的であり、そこには強い連帯感が込められています。


HAMという言葉は蔑称から愛称となった

「HAM」という言葉の裏には、プロにバカにされながらも技術を磨き、電波の世界を切り拓いてきた先人たちの反骨精神と情熱が詰まっています。

もしあなたがこれからアマチュア無線を始めるなら、あるいは既に楽しんでいるなら、この「HAM」という名前に誇りを持ってください。見知らぬ誰かと電波でつながる瞬間、あなたもその歴史の一部になるのです。

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こんにちは!オンエアーズの編集長mayasaです。 小学生の時にアマチュア無線の電話級を取得、高校1年で2アマ(当時はモールスの聞き取りがありました!)大人になってから1アマを取得しました!大学では電子工学を学び、電子回路の制作などを行っていました。 日頃からアマチュア無線の普及啓蒙活動に取り組んでいます。 子どもから大人まで多くの人にアマチュア無線の資格取得のための講習会を開催しています。 【関連資格】 第一級アマチュア無線技士 第一級陸上特殊無線技士