宇宙通信

アマチュア衛星を活用した無線通信の楽しみ方:実践ガイド

アマチュア衛星通信の魅力と可能性 アマチュア衛星通信は、地上の中継局(レピーター)が宇宙を飛んでいるようなものであり、普段の地上波による無線交信とは異なる独特の体験ができます 。自分の発射した電波が、はるか上空の人工衛星を経由し、遠く離れた地域、あるいは海外のアマチュア無線家と繋がるという事実は、何物にも代えがたい感動を与えてくれます。また、衛星からの信号がドップラー効果によって変化したり、自分の声がエコーのように少し遅れて聞こえたりする現象は、衛星通信特有の「不思議な魅力」と言えるでしょう 。    このアマチュア衛星通信の世界は、一部の専門家だけのものではありません。アマチュア無線技士の免許を持つ人であれば、誰でもその扉を開くことができます。このレポートでは、アマチュア無線家が人工衛星を利用して無線通信を楽しむための具体的な方法をいくつか選び、それぞれの魅力、必要な機材、運用方法などを詳しく解説します。比較的取り組みやすいFM衛星による音声交信から、より高度な技術を要するSSB/CWでの本格的なDX通信、さらにはAPRSを利用したデータ通信まで、あなたの宇宙への無線通信の楽しみ方を広げるお手伝いをします。 アマチュア衛星通信の基礎知識 アマチュア衛星とは? アマチュア衛星とは、その名の通り、アマチュア無線家のために打ち上げられた人工衛星のことです。これらの衛星は、政府機関や商業的な衛星企業が運用するものとは異なり、個人的な趣味の団体や大学の研究室などが主体となって製作・運用しています 。アマチュア衛星の歴史は古く、宇宙開発の黎明期である1961年に打ち上げられたOSCAR-1(オスカー1号)がその始まりです 。以来、現在までに数多くのアマチュア衛星が打ち上げられてきました。「OSCAR」という名称は「Orbiting Satellite Carrying Amateur...